「ミツモリヲツクル??」

「ミツモリヲツクル??」 SESのリアル

先行して入っていた新人2人から情報を共有してもらい、営業に連れられお客さん先に挨拶に行き、本格的に私も受託案件の作業が始まりました。

背景や経緯がよく分かっていなかったので何とも言えないのですが、状況としては、お客さんはある程度うちの会社にお願いすることはほぼ決まっているような感じになっていて、画面遷移の流れやパターン等をお客さんに提案して持って行くような段階になっていました。

お客さんからも「だいたい良さそう」や「いいですね、その感じでお願いします」、「この部分でこんなチェックをしてもらうことはできますか?」みたいな前向きの反応をいただけて、段々と作るべきシステムのイメージが固まりつつありました。

そんな中、自社の部長から投げかけられた言葉があります。

「どれぐらいでできそうか、見積作ってもらえる?」

そのときの私の頭の中は、こうです。

「ミツモリヲツクル??」

4年目で、見積に初めて触れた

もちろん、見積という言葉自体は知っていました。ただ、それを自分がやるとなったときに、なにをどのようにして、最終的にどんな形のものを作ればよいのかまったくイメージができませんでした。

これは完全に私が悪いのですが、部長の言葉を受けたときに反射的に「分かりました」と返してしまったのです。見積がどんな作業なのか自体は何となく分かっていたつもりですし、調べながらやれば何とかなるかなと、軽く考えてしまっていました。

いま考えれば当たり前のことですが、部長が知りたかったのは金額です。その案件の作業が何人月でできるのか。つまり、コスト感がいくらぐらいになりそうか。

当時の私は、まったくそこに考えが辿り着きませんでした。「見積」と言われて、私が考えたのはスケジュールのことでした。「どれぐらいの期間が必要になりそうかの見積かな」と。

そして、部長が知りたがっていたであろう数値の記載が全くない線表のExcelを出した覚えがあります。

いつまでに設計を終えて、いつから実装して、いつテストをするか。時間の並びは書けたのですが、それが金額に換算されるものだとは思っていませんでした。

なぜ知らなかったのか

理由はハッキリしているので堂々(?)と言えます。

常駐していると、自分の仕事の値段を一度も見ないからです。

4年間、私は一度も金額の話に立ち会っていません。

  • 自分の単価を知らない
  • 見積を作ったことがない
  • その現場の総額も知らない
  • 自分の作業が何円分なのかも知らない

渡されるのは設計書とスケジュールだけです。だから工数=時間だと思っていて、工数=金額だとは思っていませんでした。

(まあ、経験していなかったとは言え、「見積」という言葉から金額にたどり着けなかったのは完全に私の無知さが悪いので、そこに言い訳をするつもりはありません…)

「10人月ぐらいあれば行ける?」

線表を見た部長から、こう聞かれました。

「10人月ぐらいあれば行ける?」

私はこう答えました。

(10人月っていうのは1人だと10ヶ月かかるっていうアレか)「たぶん、大丈夫だと思う」

この一往復で、プロジェクトの金額が決まりました。

部長は私から出てきた自称見積のExcelを見て、予想外の内容に驚いたことでしょう。そこでお咎めを受けなかったのは部長の人柄かもしれませんし、私としては自覚がないまま甘えてしまっていた部分かもしれませんが、今後を考えればそこはしっかり指導してもらった方が…と思います。

10人月という数字に根拠はありません。私が作ったふんわりスケジュール資料と、部長の勘を軸として、この初めての受託案件にかかる金額が決まっていきました。

ただ、「今思えば」という言葉を何度も使ってしまいますが、それまで製造まわりしか経験してきていない、作るべきものスケジュールも既に定まっている中での作業しかしてきていない人間が、いきなり最上流工程に突っ込まれて「見積作って」に対応するのは結構なムチャぶりなんじゃないかな…と、客観的にそう感じたりもしています。

この受託案件の結末は追々…

詳しくは追々書いていこうと思いますが、ひとつだけ先に言ってしまうと、この10人月という数字は大幅にオーバーしました。

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