客先に常駐していると、ずっとついて回る不便さがあります。それは、作業をスムーズに行うための権限が与えられていない(ことが多い)ということです。
プロパーではないので、渡されない
常駐者はその会社の社員ではありません。だから、社員と同じ権限は渡されません。
これは当然のことで、誰かを責める話ではないと思っています。セキュリティの都合もあれば、契約の都合もあります。私がいま受け入れる側に回ってみても、プロパー社員とパートナー社員では与えられる権限が同じにならないことは理解できているつもりです。
問題は、そこではありません。
でも、作業は進めなければならない
権限は与えられない。しかし、客先で作業をしている以上、権限がないと進まないことが山ほどあります。各種ドキュメントを参照する権限がない。ファイルサーバーにアクセスできない。シェアポイントにアクセスできない。
ある現場では、検証環境を使うだけで他チームとの調整が必要でした。何をするにも調整が付きまとい、とにかく動きづらかったのを覚えています。
そういうとき、常駐者がやることは決まっています。
- 権限を持っている人を探す
- 依頼する
- 手が空くのを待つ
- 忘れられていないか確認する
- 間に合わなければ、別のやり方で迂回する
自分で1分でできることに、半日かかることがあります。
その手間は、誰にも計上されない
ここが本題です。
権限がないことによって発生する手間は、全部、常駐している人間が被ります。
スケジュールには乗りません。「権限がないので3時間かかりました」とは書けません。見積もりにも入っていません。だから、その分だけ自分の作業時間が削られます。でもやるべき作業は削られません。削られた分の作業時間は、残業によって穴埋めすることになります。
そして稼働時間には上限の幅があり、超えても給料は変わりません。つまり、その手間を吸収するのは、常駐者の労働時間です。
権限はないのに、責任だけがある
整理すると、こういう状態です。
| 権限 | ない(社員ではないので) |
| スケジュール | ある(期日は決まっている) |
| 差分を埋める手間 | 常駐者が負担する |
| その手間への対価 | なし |
中途半端な立場、という言い方をしていましたが、正確に言えば不利な側にだけ寄った立場です。社員の権限は持たされないのに、社員と同じ納期は課される。
当時は、これを不便としか思っていなかった
当時の私はこれを「面倒だな」としか思っていませんでした。構造として不利になっている、とは考えていません。
いま受け入れる側になってみると、この手間が発生していることは、発注側からはほとんど見えません。成果物がスケジュール通りにアウトプットされてくることを期待しており、その裏で何時間が消えたかは分からない。
見えないものは、誰も評価しません。そして、誰も減らそうとしません。

