2年目になったころ、私は最初のころに比べれば少しずつ周りが見え始めてきました。そのころの話です。
一次受けの会社が、存在していた
それまで私は、常駐先であるA社が仕事の発注元だと漠然と思っていました。発注元という意味で言えば、たしかに私が所属している会社への発注元であることに違いは無いのですが、作業しているプロジェクトについてですね。A社も、そのプロジェクトの作業を委託されている側だったのです。
A社に仕事を出している別の会社、F社がありました。
F社が一次受け、私が常駐しているA社が二次受け、私が所属している会社が三次受けという構図でしょうか。厳密に言えば、私が所属している会社に作業が委託されているわけではないので三次受けという表現は違うかもしれませんが、人レベルで考えればそのように仕事が流れていました。
そのことに気づくのに、1年かかりました。
一次受けの会社に、行くことになった
あるとき、その一次受けの会社であるF社に出向く機会がありました。新しいプロジェクトのキックオフで、進め方等の説明だったと記憶しています。F社には、私と先輩社員の2名で訪問しました。
そのとき私と先輩は、常駐先であるA社の人間としてF社に訪問しました。
A社の名刺を持たされ、A社の人間としてふるまいました。
「なんだこれ、へんなの」
そのとき思ったことを、いまでも覚えています。
なんだこれ、へんなの。
私はA社の社員ではありません。自分の会社の名刺があるのに、それは使わない。A社の名刺を持って別の会社へ行き、そこで自分ではない会社の人間として名乗る。
私なのに私ではない感覚です。
ただ、そのとき私が抱いたのは、怒りでも不安でもありませんでした。ただ「へんなの」と思っただけです。すぐに慣れましたし、そういうものなんだと受け入れました。
これが問題視されることがある、と知ったのは後だった
誤解のないように書いておくと、当時の契約がどうなっていたのか、私はいまも知りません。自分の会社と常駐先であるA社がどのような契約を結んでいたのか、その書面を私は一度も見たことがないからです。
だから、あれが問題のある行為だったかもしれないと断定することはできませんし、考えたこともありません。ただひたすら、そういうものなんだな~と流れに身を任せていただけです。
ただ、後になって、この種の話が問題視されることがあるらしい、と知りました。そして知ったときに思ったのは、「当時の自分には、それを確かめる手段が何もなかった」ということでした。
この、他社の名刺を持たされて他社の人間としてふるまう動き、この先も出てきます。私は15年で、覚えているだけで3社分の他社名義の名刺を持たされました。そして数年後には、それを「どうでもいい」と思うようになります。
