受託案件で、私はPL的なポジションに据えられました。プロジェクトリーダーです。
PL業なんて、やったことがありません。やり方もよく分かっていませんでした。
私がそこまでにやってきたこと
4年間で担当したのは、実装と、その前後の詳細設計と単体テストだけです。
スケジュールを引いたことがありません。課題を管理したことがありません。見積という言葉の意味も、そのとき初めて考えました。お客さんと打ち合わせをしたこともありません。
その状態で、受注がかかったプロジェクトのリーダーです。
新人2人が作った設計を見て、固まった
私が入った時点で、システムの構成案のようなものがすでにできていました。内部の作りではなく、ユーザーから見た画面の振る舞いの部分です。
それを見て、私はこう思いました。
え、本当にこの動きで問題ないってお客さん言ってたの?
にわかには信じられないような画面遷移になっていました。いま思い返しても、なかなか斬新な動きだったと思います。
私だって上流の経験はありません。それでも「流石にこれは無いんじゃないかな」と思う程度には、おかしく見えました。
お客さんに確認したら、問題ないと言われた
AD社に挨拶に行くタイミングがあったので、そこで確認しました。この動きで本当に大丈夫なのかと。
返ってきた答えは、それで問題ないでした。
ここが、この記事でいちばん書いておきたいところです。
誰も検証していないのに、話は進む
整理すると、こうなっています。
- 実務経験のない新人2人が、画面の振る舞いを設計した
- お客さんは、それを「問題ない」と承認した
- 唯一おかしいと思った人間(私)にも、判断できるだけの経験がない
- それでも、受注は進む
誰も検証していません。
お客さんが悪いわけではありません。あのお客さんは、システムのエンドユーザーです。情報システムの部署があるわけでもなく、開発を発注し慣れているわけでもない。画面遷移が妥当かどうかを判断できるはずがありません。
だからこそ、お金を払って専門家に頼んでいるのです。
その専門家の側に、判断できる人がいなかった。それだけの話です。
ここが、多重下請けの下の方にいた会社が、いきなりエンドユーザーと直接向き合ったときに起きることだと思っています。
それまで私たちが受け取っていたのは、上流の誰かが作った設計書でした。妥当かどうかを判断する工程は、常に自分たちより上の階層で終わっていました。
その階層が、この案件には存在しませんでした。誰も上にいない。判断する役目が自分たちに回ってきて、そのやり方を誰も知らなかった。
会社は、誰も教えず、誰も止めなかった
PLをやるにあたって、誰かに教わった記憶がありません。研修もありません。参考にする社内の事例もありません。そもそも受託が初めてなので、事例が存在しません。
そして、止める人もいませんでした。「4年目にPLは無理だろう」と言う人が、社内に誰もいなかった。
これも「自社の仕事に出せる人がいない」ことの帰結です。止められる人も、全員よその会社にいました。
この状態で、私は数か月もちませんでした。そのあと自分から手を挙げることになるのですが、その話はもう少し先で書きます。
