本社での受託案件に入ったとき、私が新人2人に対して思ったことを正直に書きます。
「すごくない?」と思った
私が入った時点で、既にその新人2人は営業と一緒に何度かお客さん先に足を運んでおり、お客さんがどんな業務を行っていて、どんなシステムを欲しがっているのか、細かい部分でどんな要望があるか、といったすり合わせが行われた後でした。
その事実を知ったとき、私が思ったのはこれです。
え?お客さん先に2人で言ったの?営業の○○さんと一緒に?2人とも直接お客さんと話したりしたっていうこと?本当に?すごくない??
皮肉でも羨みでも何でもなく、ただただ素直に「すごい」と思いました。
4年目が、それを「すごい」と思っている
お客さんから業務の話を聞く、困っていることを聞く、どうすればシステム解決できるか考え、提案し、お客さんと一緒に少しずつシステムのぼやけた部分を鮮明にしていく―、上流工程のやりがいや楽しさに繋がる部分だと思いますが、そのような経験を、私はそのときまで一度も経験したことがありませんでした。
通常の受託開発系の会社であれば、2~3年目ぐらいにはプロジェクトリーダーに連れられて、お客さんと直接やり取りをする場を経験させてもらえるものと思います。
それが私は4年目になっても一度も経験できておらず、それをおかしいと思ったこともなく、新人がそれをやっていることを「すごい」と思いました。
ここで言っている「すごい」は、「新人なのにもうそんな経験しててすごいね!」という先輩目線での感情ではなく、経験したことないことを新人が既にやっているという、下から見上げるような感情でした。
SESでは貴重な上流工程に関われた新人は運が良かった
その新人2人がそのような経験をさせてもらえたのは、たまたままだ現場に出されていなかったからです。こうなることを見越して即戦力の新人を採用し、意図的に本社に待機させていたわけではありません。
SESでは、客先に出されるほど上流から遠ざかるケースが多いです。特に、若手のうちはその傾向が顕著に表れ、製造や単体テスト、詳細設計のフェーズを担当することが非常に多いはずです。
私自身は特に上流志向があるわけではないのですが、「上流工程に関わりたい!」と思っているメンバーもいます。でも、SESで働いていると、なかなか上流工程に関わる機会がありません。客先で頑張って頑張って評価が上がったとしても、上流工程を担当できるかどうかは本当に運次第です。
そういうメンバーを尻目に、たまたま本社に待機してたから上流工程を経験できた新人2人は、かなり特殊な境遇だったと思いますし、この歪んだ仕組みはもっとどうにかならないかなと思えます。
(SES企業が受託開発に手を出した時点で歪みしかないのかもしれませんが…)
「経験を積むために現場に出る」の裏返し
客先でいろんな経験を積んで、スキルアップを図ろう!
私がいたSES企業にはそんな風潮がありました。スキルアップできれば常駐先に困らない、評価も上がるし単価も上がる。とにかくスキルアップが大事!資格取得が大事!そんな風潮です。
常駐した先で積める経験は、もちろんあります。その現場で使う技術や文化など、いろいろなことを知り、経験することができます。ただそれは、渡された範囲の中での経験です。
誰が何を欲しいと言ったのか。なぜその仕様になったのか。予算はいくらで、いつまでに何を出すと約束したのか。その手前の話は、常駐している人間には回ってきません。やるべきことが決まった後の、大げさに言えばマンパワーが必要になる作業という枠での経験しかできません。
もっと手前の段階の、何をするか決める部分(上流部分)の経験はなかなか積めないのです。

