受け入れる側は、あなたの会社のルールを知らない

受け入れる側は、あなたの会社のルールを知らない 受け入れる側から

私は、SES企業から転職して自社開発の会社に身を置いています。そしてそこでは、常駐で来てくださっているパートナー社員の方を受け入れる側にいます。

15年間、送り出される側にいた人間が受け入れる側に回った。両方の立場を知り気づけたことがありますので、そのあたりのお話を何本かに分けて書いていこうと思います。

最初の1本は、これです。

受け入れる側は、あなたの会社のルールを知りません。

知らないのではなく、知りようがない

まず、常駐してくるパートナーの社員さんが所属している会社のルールや規定を知りません。残業代が出るのか、みなし残業なのか、どのような評価制度なのか、本当にその会社の社員さんなのかどうか―

受け入れる側は、これを何ひとつ知りません。

直接仲良くなって会話をする中で「実は私はですね…」のように話を聞けることもあります。でも、事務的な間柄でしかない状態では、教えてもらう機会もありません。他社の労働条件なので、聞くのも不自然です。

だから何が起こりやすいかというと、自社の文化を前提にして接することになります。受け入れる側としてもそれしか基準が無いからです。

これで、当時の疑問が全部つながった

SES時代、常駐先から言われた刺さった言葉というか印象に残っている言葉がいくつかあります。

言われたこと言った人が知らなかったであろうこと
「今日はとことんやっていきますか!」こちらがみなし残業だということ
時間外を、さも当たり前のように頼まれるその時間に手当が出ないということ
「さっき使った言葉、意味わかりました?」「分かりません」と言いにくい立場だということ

当時の私はどれも嫌でした。特に最初のふたつは、自社的には残業代が出なかったのに時間外の作業を強制される(悪びれることもなくサービス残業を指示されている)ようで、はっきりと不快でした。

いま受け入れる側になって分かったのは、あの人たちに悪意はなかったのかもしれないということです。自分の会社では残業すれば手当が出る。だから同じ感覚で声をかけてきていたのかなと。

悪意のない一言が、常駐者にだけ刺さる。そういうことが日常的に発生しやすいのかもしれません。

もっと重いことも知ってしまった

ここからが本題です。

SESで常駐している方に対して、受け入れ側が細かい作業指示を直接出すのは、本来やってはいけないことです。指揮命令の関係になってしまうためで、作業の依頼は先方の責任者に対して行うのが筋です。

受け入れ側が作業者に対して作業指示を直接出せるのは、その人が派遣社員として常駐している場合ですね。SESとして常駐している場合は上述の通り、先方の責任者に対して作業の依頼という形で話を通し、実際の作業者には先方の責任者から指示が下りる流れがあるべき形です。対派遣社員のように直接作業指示を行ってしまうと、それは偽装請負という明らかな法律違反の行為になってしまいます。

受け入れる側になって知ったのは、このルールをしっかり把握していない人が、受け入れ側にも結構いるということでした。

知識としてそういう話を聞かされることはあるのでしょうが、それが実務での実際の話と結びつかずピンとこないままになっている人が多そうです。実際、SESとして常駐している人に対して直接の作業指示がNGであることを話すと、「そうなんですか!?」みたいに驚かれることが多いです。

たしかにこのあたりは難しいところで、作業をするために常駐してきているのに作業指示はNGって意味分らないですからね。受け入れる側としても強く意識しておかないと簡単に偽装請負状態に陥ってしまいやすいな…と感じています。

常駐していたころ、これが一番おかしいと思っていた

偽装請負という言葉を出しましたが、法的に問題とされている働かせ方であるはずなのに、現場ではグレーな扱いのまままかり通っているのが正直なところだと思います。

常駐していたころ、私はそれを「なんて馬鹿げているんだ」と思っていました。誰かがルールを無視して、こちらを不利な立場に置いているのだと。受け入れる側になって分かったのは、そこに「誰か」はいないということです。

受け入れ側は他社のルールを知らず、常駐者は自分の契約書を見ず、営業は客先の心証を優先する。全員が、それぞれの位置から見える範囲で悪意もなく普通に振る舞った結果、おかしな状態が成立します。

これは、このブログの中で何度か書いてきたことと同じです。「誰も悪くないのに、こうなる」です。

私が気をつけていること

私は常駐する側の気持ちを知っているので、そこはかなり気を使っているつもりです。

ただ、それは私がたまたまSESの立場にいたからで、再現性のある話ではありません。受け入れ側の全員に同じことを期待するのは無理です。だから、常駐している側に伝えたいのは、こうなります。

あなたが受けている扱いは、あなたが軽く見られているからではなく、相手が知らないからです。

そして残念ながら、それは、あなたが説明しても改善することは極めて難しいと思います。そもそも説明できる立場になく、「自分の待遇を良くしようとしているだけ」と見られかねないからです。

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